Scenario

開発の核となるプラグイン開発機能です。ワークフローを作成することができ、即座にAPIとして公開することも可能です。

Qmonus SDKで公開するマイクロサービスは、このScenarioリソースで作成します。Scenarioは、Frontalが提供するシナリオエディタ上でエンドポイントを定義し、ワークフローを作成することですぐにAPIとして公開することができます。


Scenarioは、ランタイムでトランザクションサービスと連携し、ワークフローの途中でクラッシュした場合のロールバックなどフロー制御をトランザクションサービスに委任できます。 開発者は、フローエディタで正常な処理とエラー発生時のキャンセル処理を記述する必要がありますが、正常とエラー処理を分離して記述できるため処理を簡素化できます。


シナリオが保有する属性

属性 概要 備考
workspace プラグインのワークスペースです。 詳細については、Docs » リファレンス » ワークスペースの章を参照してください。
name シナリオの名前を指定します。 ユニークである必要があります。
category シナリオのカテゴリを指定します。 シナリオを分類するためのラベルですが、カテゴリと同一名称のConfigサービスを定義している場合、シナリオが呼び出されたときに自動的にシナリオの名前空間にインポートされます。詳細については、Docs » 名前空間 » リファレンス » Scenarioにおけるプログラミングの章を参照してください。
method APIとして待機するHTTPメソッドを指定します。 -
URI APIとして待機するHTTPパスを指定します。 -
connect_timeout HTTPリクエストの接続タイムアウト値をAPIとして指定します。 シナリオを登録すると、当該シナリオAPIに向けるルーティング情報がAPI Gatewayに自動的に追加されます。その際、ルーティングの接続タイムアウト値はこの値で自動設定されます。
request_timeout HTTPリクエストの要求タイムアウト値をAPIとして指定します。 シナリオを登録すると、当該シナリオAPIに向けるルーティング情報がAPI Gatewayに自動的に追加されます。その際、ルーティングの要求タイムアウト値はこの値で自動設定されます。上限は設定していませんが、極端に大きい値はメモリを圧迫する恐れがあるため注意が必要です。
transaction mode トランザクションモードを指定します。 トランザクションモードを有効にしてステートフルなAPIにする場合は、syncまたはasyncのいずれかを指定できます。無効にすると、トランザクションサービスとは連携しません。
syncの場合、シナリオが呼び出された後、トランザクションがコミットされるかキャンセルが完了するまで、応答はブロックされます。処理中にクライアントがクラッシュしても、トランザクションの状態は維持されます。その場合、リカバリとキャンセルはトランザクション管理画面から実行するか、Abort hookでリカバリを自動化する必要があります。syncモードは、ロングトラザクションには適していないため、お勧めしません。
xdomain トランザクションのドメインを指定します。 -
xtype トランザクションのタイプを指定します。 -
xname_use_counter トランザクション名の自動割り当てにカウンターサービスを使用するかどうかを指定します。 -
xname トランザクション名を指定します。 カウンターを使用する場合は、カウンター名を指定してください。また、1ライナーのカスタムスクリプトを使用して生成することもできます。
trasaction_timeout トランザクションのタイムアウトを指定します。 指定しない場合、起動パラメータ--transaction_timeoutの値がデフォルトで適用されます。起動パラメータのデフォルトは600秒です。
auto_rollback_mode 自動的にロールバックを実行するかどうかを指定できます。 トランザクションモードの場合、シナリオの実行中にエラーが発生し中断した際にすぐにcancelに遷移してロールバックを実行するかどうかを指定できます。デフォルトはFalseです。
auto_begin_mode トランザクションを自動的に開始するか、開発者が意図したタイミングで開始するかを指定します。 デフォルトはTrueです。Trueの場合にいつトランザクションを開始するかはワークフローの先頭のコマンドに依存します。
先頭のコマンドがrequest_validationコマンドである場合、トランザクションの開始は次のコマンド開始時に行われます。先頭がrequest_validationでない場合は、トランザクションの開始が最初に行われてからコマンドが実行されます。
これはrequest_validationが要求の妥当性チェックをするためのものであり、チェックエラーの場合は、400 Bad Reqeustを返却するため、トランザクションの開始を遅らせる必要があるからです。
一方Falseに設定するケースは、リクエストのバリデーションがjsonschemaだけで実施仕切れないケースや実施できたとしてもエラーをカスタムのものにしたい場合です。
その場合は、Falseにしてバリデーションを実装したコマンドの最後をawait context.qumons.begin()とすることで開発者が意図したタイミングでトランザクションを開始してください。
auto_response_mode HTTP自動応答モードを指定します。 Trueの場合、トランザクションの開始時に自動応答が返却されます。Falseの場合、開発者が意図したタイミングでカスタム応答を返すことができます。デフォルトはTrueです。Falseに設定した場合は、context.session.finishを使用してHTTPレスポンスを返却するようにしてください。返却しない場合は、APIクライアントがタイムアウトします。
lock_keys ロックするキーを指定します。 トランザクションの開始時に指定されたリソースはロックされています。ワークフローの途中でロックを追加したり、解除したりすることも可能ですが、デッドロックを回避するためなるべく初期に全てのロックを取得するように設計することをお勧めしています。
lock_retry_count ロックを取得できない場合の再試行回数を指定します。 デフォルトは0回です。
lock_retry_interval ロックを取得できない場合の再試行間隔を指定します。 デフォルトは0秒です。
transaction_callback_url コールバックURLを指定します。 トランザクション状態が決定されたときに指定されたコールバックURLにトランザクション情報をPOSTできます。
transaction_callback_path_combine_with コールバックURLにトランザクションの識別子を指定できます。 トランザクション状態が決定されたときにtransaction_callback_urlにトランザクション情報がPOSTされますが、POST時のリクエストパスにトランザクションの識別子を指定させたい場合にxidもしくはxnameを選択できます。
transaction_callback_xglobals_only_body コールバックの本文をxglobalsのみにするかどうかを指定します。 トランザクション状態が決定されたときにTrueの場合はxglobals(シナリオのグローバル変数空間)のみがPOSTされます。Falseの場合、xglobalsを含むすべてのトランザクション情報が本文に設定されます。
additional_paths URIで指定した待ち受けパス以外に複数の待ち受けパスを設定したい場合に指定します。 シナリオを保存した際にURIで指定したリクエストパスへのルーティング登録がAPI Gatewayに対して行われますが、additional_pathsが設定されている場合はそれらに該当するルーティング情報も登録されます。
global_variables シナリオのグローバル変数を指定します。 シナリオでは複数のコマンドを配置できますが、コマンドを跨いで利用する変数はここで宣言する必要があります。グローバル変数は、トランザクションサービスへのバックアップの対象にもなります。複数のシナリオやデーモンで同じグローバル変数定義のセットを共有したい場合は、VariableGroupサービスを使用すると良いでしょう。
routing_auto_upload_mode API Gatewayへのルーティング自動登録をするか否かを指定します。 デフォルトはTrueです。Falseの場合、開発者はルーティングをプラグインとして個別に定義する必要があります。ルーティングプレーンを切り替える操作をしたい場合やアクションパイプラインをカスタマイズしたい場合は、Falseに設定してください。
routing_scope routing_auto_upload_modeTrueの場合、自動登録されるルーティングのスコープを指定できます。 デフォルトはlocalスコープです。
routing_spec routing_auto_upload_modeTrueの場合、自動登録されるルーティングのAPI仕様を定義できます。 API仕様を定義した場合、API Gateway側でバリデーションが実行されます。

Note

transaction_callback_path_combine_withを設定した場合、以下のようにコールバックエンドポイントを変更します。

# transaction_callback_path_combine_with を xid で指定した場合
transaction_callback_url: http://apigw:9099/example/callbacks
transaction_callback_path_combine_with: xid
実際のコールバックエンドポイント: http://apigw:9099/example/callbacks/{xid}


Command

シナリオは、1つ以上のコマンドで構成されます。コマンドは、組込みコマンドとカスタムコマンドが提供されています。

単一コマンドのフロー制御

すべてのコマンドは、AOP Settingと呼ばれる個別のフロー制御にラップされています。処理フローは次のとおりです。

Pre condition
コマンド実行のすべきかどうかを判断する条件判定ブロックです。記述されたPython式がFalseの場合、コマンド本体は実行されません。
Pre processing
コマンド実行の前処理が記述できるブロックです。
Post condition
コマンド実行の事後状態が正常化否かを判断する条件判定ブロックです。
Post processing
コマンド実行の後処理が記述できるブロックです。
Repeat
コマンド実行の繰り返し条件を記述するブロックです。
Break condition
コマンド実行の繰返しを終了する条件を記述するブロックです。ブール値を返すPython式を設定します。
Continue condition
コマンド実行の繰返しの中で実行をスキップする条件を記述するブロックです。ブール値を返すPython式を設定します。
Except condition
例外を発生させるべきか否かを判断する判定ブロックです。Python式がTrueの場合、例外を送出し、トランザクションを中断します。
Command implementation
コマンド自体の実行です。scriptコマンドの場合は繰り返しや事前事後の処理自体を自由に記述できるため、Pre condition以外のブロックはほとんどのケースで利用されていません。


組込みコマンド

組込みコマンドは以下が提供されています。現在はrequest_validationscriptbreak pointserveコマンドのみが利用されているケースがほとんどです。それ以外のコマンドは後方互換のために残置されていますが、将来サポートされなくなる可能性があります。シナリオ全体の可読性や可搬性を考慮し、scriptコマンドを主体にプログラミングすることを推奨しています。

category command description
Transaction lock
非推奨
トランザクションロックを追加獲得する
unlock
非推奨
トランザクションロックを部分解除する
allocate counter
非推奨
カウンタ値を取得します
Scenario request validation HTTPリクエストをバリデーションする
script Pythonスクリプトを実行する
sleep スリープする
break point ワークフローを中断する
open remote file
非推奨
リモートホスト上のファイルを開く
render template
非推奨
テンプレートにレンダリングする
snmp get
非推奨
SNMP GetでMIBオブジェクトを取得する
snmp bulk get
非推奨
SNMP Bulk GetでMIBオブジェクトを取得する
Lambda regist device
非推奨
Device情報を登録する
unregist device
非推奨
Device情報を削除する
get device
非推奨
Device情報を取得する
southbound callout
非推奨
CLIプロキシを呼び出す
parallel southbound callout
非推奨
CLIプロキシを多重で呼び出す
lambda event
非推奨
イベントを発生させる
API Gateway callout
非推奨
HTTP呼び出しをする
parallel callout
非推奨
並列でHTTP呼び出しをする
status poll
非推奨
HTTPポーリングをする
parallel status poll
非推奨
並列でHTTPポーリングをする
serve ワークフローの途中でトランザクションをサスペンドし、指定されたリクエストパスでリダイレクトを待ち受ける
詳しくはhttps://docs.sdk.qmonus.net/tutorial/tutorial3/を参照ください。


Note

初心者向けの組込みコマンドが用意されています。シナリオエディタに配置し、使用するパラメータを設定するだけです。ほとんどの上級ユーザーは、 scriptrequest_validationbreakpointserveのみを使用します。したがって、将来的に組み込みコマンドを追加する予定はありません。

Tip

トランザクションモードおよびauto_begin_mode=Trueの場合、トランザクションはシナリオの開始時に自動的に開始されます。ただし、最初にrequest_validationコマンドを配置すると、コマンドを終了したときにトランザクションが開始されます。


request validationの設定例

  • HTTP header schema: HTTP headerのバリデーションを設定します。以下は設定例です。
{
    "type": "object",
    "properties": {
        "X-Xaas-Test": {
            "type": "string"
        }
    },
    "required": [
        "X-Xaas-Test"
    ]
}
  • HTTP body schema: HTTP bodyのバリデーションを設定します。以下は設定例です。
{
    "type": "object",
    "properties": {
        "id": {
            "type": "integer"
        },
        "password": {
            "type": "string"
        }
    },
    "required": [
        "id",
        "password"
    ]
}
  • HTTP query schema:HTTP queryのバリデーションを設定します。以下は設定例です。
{
    "type": "object",
    "items": {
        "name": {
            "type": "string"
        }
    },
    "required": [
        "name"
    ]
}
  • Exception handling: request validationで発生したエラーを処理します。発生したエラー内容は値「e」にValidationErrorとして渡され、e.messageでエラーメッセージを取得することが可能です。
    Errorクラスを使用することでエラー内容をカスタマイズすることが可能です。
raise Error(
    400,
    reason=f"ValidationError!!: {e.message}",
    moreInfo=f"{e}"
)

キャンセレーション動作

コマンドはキャンセル動作を設定できます。シナリオとデーモンは、ダウンストリーム方向にコマンドを順番に実行します。ワークフローが途中で中断され、トランザクションサーバからキャンセルが実行された場合、中断されたコマンドのキャンセレーション動作が実行されます。キャンセレーション動作が正常に完了するとアップストリーム方向に順番にコマンドのキャンセレーションが実行されます。

キャンセルオプションには、以下の設定項目があります。

  • cancellable: キャンセルの可否を指定します。Trueの場合、キャンセルアクションを適用します。Falseの場合、キャンセルできないため処理が中断され、トランザクションが再度中断されます。ワークフローによっては、ある時点までロールバックすることが可能でもそれ以降はロールフォワードのみが許可される場合があります。このような場合は、ロールバックできないコマンドにFalseを設定してください。cancellable=Falseにもかかわらずトランザクションロックを強制的に解除する必要がある場合は、トランザクションキャンセル時にcancel_mode=breakthroughを指定することで強制的にキャンセルすることができます。


  • actions:

キャンセル操作を指定します。API呼び出しまたはカスタムスクリプトを記述できます。


Learn More

シナリオのプログラミングについてはDocs » リファレンス » ビルトインオブジェクトDocs » 名前空間 » リファレンス » Scenarioにおけるプログラミングを参照してください。

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